家を建てるうえで、見積もりや資金計画書を確認していると、「付帯工事費っていったい何だろう?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。建物本体の価格がメインだと思っていたら、思った以上に別途費用がかさんで驚く……という話はよく耳にします。そこで今回は、タマホームの資金計画書にある付帯工事費について、私とAさんの会話を通じて詳しく見ていきます。実際の例を参考に、費用の内訳や注意点を一つひとつ確認していきましょう。
はじめに
Aさん:「家を建てるときの資金計画書を見ていたら、“付帯工事費”という項目があって、120万円くらいかかるって書いてあるんですが……これって何に使われるお金なんでしょう?」
私:「はじめて見ると、ちょっと戸惑いますよね。付帯工事費は、建物そのものをつくるための工事とは別に、屋外の配線や給排水、仮設の設備など、家を完成させるうえで必要な工事費をまとめて呼んでいることが多いです。見慣れない項目が入っていてびっくりするかもしれませんが、どれも家づくりに欠かせないものなんですよ。」
Aさん:「なるほど。ただ、120万円ってかなり大きい金額ですよね。予算オーバーになりそうで不安です。」
私:「そうですよね。実際に本体価格だけで考えていたら、付帯工事費の存在は無視できないと思います。そこで、今回はタマホームの資金計画書に記載される付帯工事費の主な内訳を説明していきますので、ぜひチェックしてみてください。」
屋外電気配線工事:外回りの電気を整える
どんな工事なのか?
Aさん:「最初に書いてある“屋外電気配線工事”って、具体的にはどんなことをするんでしょうか?」
私:「屋外で電気を使うために必要な配線や設備を整える工事ですね。たとえば、電力会社から電気を引き込むための配線や、家の外で使用する外部照明、エアコンの室外機に電気を送るための配線などが含まれます。また、庭や駐車場にセンサーライトをつける場合も、この工事に含まれることが多いです。」
注意点と費用の変動要素
Aさん:「なるほど。外にも電気は必要になりますもんね。でも、そんなに費用がかかるものなんでしょうか?」
私:「電柱や電線との位置関係、敷地の広さや電気を使いたい場所の数によって変わります。たとえば庭を広く作って、あちこちに照明を配置するなら、その分配線が多くなりますよね。距離が伸びれば工事費も上がるというイメージで考えてください。」
屋外給排水工事:生活に欠かせない水回りの準備
基本的な内容
Aさん:「次に“屋外給排水工事”ってありますが、これは水道管や下水管の工事ですよね?」
私:「そうです。給水管や排水管を敷地内に引き込み、家の中とつなげる工事ですね。基本的には、自分の敷地内で完結することが多いですが、道路からの引き込み部分が長かったり、道路を掘削して本管に接続する必要がある場合は、別途費用がかかることがあります。」
浄化槽や簡易水洗便槽のケース
Aさん:「地域によっては、公共の下水道が通っていないところもありますよね?」
私:「そうなんです。その場合は合併浄化槽や簡易水洗便槽を設置して、自前で排水処理をしなければいけません。浄化槽の容量や設置場所によっても費用が違ってくるので、土地の状況次第では費用がぐんと上がることもあります。」
屋外立水栓工事:便利な蛇口を屋外に
どんなときに必要?
Aさん:「“屋外立水栓工事”って、庭や駐車場にある水道のことですよね。これは標準じゃない場合もあるんでしょうか?」
私:「ハウスメーカーやプランによって異なりますが、一般的に立水栓は1か所標準というケースが多いです。ただ、洗車が趣味の方や家庭菜園をする方は、立水栓を2か所以上設置したい場合もありますよね。そうすると工事費が加算されることがあります。」
デザインや素材で費用が変わる
Aさん:「外観をおしゃれにしたいから、立水栓もカッコいいのにしたい……なんて欲が出そうです。」
私:「わかります。かわいい立水栓や、レンガ風のカバーがついたデザインなど、いろいろ種類があります。もちろん素材やデザインに凝るとその分費用が上がるので、どこに予算をかけるかは検討が必要ですね。」
雨水排水工事:敷地内の雨水を適切に排出
雨水をうまく逃がすための仕組み
Aさん:「“雨水排水工事”は、屋根や敷地内に落ちた雨を外に流すための配管工事ですよね?」
私:「はい。屋根の雨樋(あまどい)から流れる雨水を地中の配管に通し、敷地外の側溝や排水路に逃がす工事がメインです。雨水をきちんと処理しておかないと、家の基礎まわりが常に湿っぽくなったり、水たまりができてしまうので、とても大事な工事ですよ。」
地形による費用の差
Aさん:「平坦な土地と、傾斜のある土地では違いが出そうですね。」
私:「そうですね。土地に傾斜があると、配管の深さを調整したり、追加の排水桝が必要になったりします。また、雨樋の長さや位置によっても配管を引き回すルートが変わるので、費用に差が出る場合があります。」
仮設費用:工事をスムーズに行うためのコスト
何に使われるの?
Aさん:「“仮設費用”という項目があるんですが、これは工事中にしか使わないものってことですか?」
私:「そうです。足場の設置や仮設トイレ、仮設電源など、建物を建てる間だけ必要なものを用意する費用ですね。完成した家には直接関係しない部分なんですが、工事を安全かつスムーズに進めるには不可欠なコストです。」
工事期間や規模で変わる
Aさん:「なるほど。でもなんだかもったいないというか、実感がわきにくいですよね。」
私:「そうなんですよね。でも、工事を行う作業員が快適かつ安全に作業できる環境づくりは、家づくり全体のクオリティにも直結します。工事期間が延びたり、大掛かりな足場が必要になる場合は費用が増えることがあります。」
下水道接続工事(宅内接続):公共下水へのつなぎ込み
道路状況で費用が左右される
Aさん:「“下水道接続工事”って、道路に埋まってる下水管に繋ぐ工事ですよね?」
私:「そうです。宅内で排水管を引き回してから道路の下水管に接続するので、もし道路を掘削しなければいけなかったり、交通量の多いところだと警備員を配置したり……そういった追加費用が発生するケースもあります。」
事前の確認が大切
Aさん:「想定していたより、工事範囲が広がることがあるってことですね?」
私:「そうなんです。自治体によってルールや工事手続き、補助金の有無などが変わるので、早めに担当者と相談しておくことが大切ですね。思わぬ出費を防ぐためにも、土地を決める段階である程度情報収集をしておくと安心です。」
付帯工事費が約120万円になる理由と内訳
見積もりはあくまで概算
Aさん:「この資金計画書だと、付帯工事費が約120万円って出てます。正直、最初に聞いていた建物本体の価格よりも増えてしまって不安になりました……。」
私:「家づくりでは、建物の本体価格だけ見ると安く感じる場合もありますが、実際は付帯工事費や諸費用も含めた総額を考える必要があります。120万円という金額はあくまで現時点での概算で、実際に着工してみると地中の状況や配管の延長の都合で増減することもあります。」
地域や敷地条件で変化
Aさん:「なるほど。地域によっては合併浄化槽が必要だったり、プロパンガスのエリアだったりすると、さらにかかる場合もあるんですよね?」
私:「そうです。敷地の形状やインフラの整備状況、自治体の制度などによっても費用は変わります。たとえば、道路から家までの距離が長いと配管を延ばす必要があってコストが上がることがありますし、逆にライフラインがすぐ近くにある場合は比較的抑えられることもあります。」
付帯工事費を上手に把握するコツ
1)疑問点をクリアにする
Aさん:「こういう工事って専門用語が多くて分かりにくいですね。どうやって把握したらいいんでしょう?」
私:「まずは、疑問に思った点は遠慮なく担当者に質問するのが一番です。“この工事はどこまで含まれるのか?” “私の土地の場合、他に必要な費用はあるのか?”など、明確にしていくと見通しが立ちやすいですよ。」
2)複数の見積もりを取る
Aさん:「確かに、一社だけだと比較ができないかもしれませんね。」
私:「はい。複数のハウスメーカーや工務店に見積もりを依頼してみると、同じ条件でも価格や工事内容に違いがあることが分かります。なんでこれだけ差があるのか?という疑問をぶつければ、さらに理解が深まります。」
3)土地探しの段階から意識する
Aさん:「土地を先に買ってから検討しようと思っていましたが、工事費に関係するなら同時進行のほうがいいかも……。」
私:「そうですね。土地探しの段階で上下水道の整備状況や道路の幅などを把握しておくと、後から“こんなに費用がかかるなんて……”と驚かなくて済みます。ハザードマップや行政の窓口で情報を得るのもおすすめです。」
まとめ
Aさん:「付帯工事費って、屋外の配線や給排水、仮設費用、下水接続とか……本当にいろいろ含まれてるんですね。120万円という数字が出てきたときは正直焦りましたけど、詳しく聞くと必要な工事ばかりっていうのがよくわかりました。」
私:「そうなんです。家づくりは建物そのものだけでなく、家の周囲の環境を整える工事が欠かせません。付帯工事費は安全で快適な暮らしのための重要な投資だと思っていただけるといいかなと思います。もちろん、予想以上に金額が膨らまないよう、見積もりの段階でしっかり確認しておくのが大切ですね。」
Aさん:「了解です。担当者にも具体的に質問してみて、不安を解消していこうと思います!」
私:「それが一番です。わからないことをそのままにしておくと、後々トラブルになりかねませんから。納得のいく家づくりを進めるためにも、付帯工事費の内訳をしっかりチェックしておきましょう。」
付帯工事費は家づくりに不可欠な要素
タマホームの資金計画書に記載されている付帯工事費は、屋外電気配線工事、屋外給排水工事、屋外立水栓工事、雨水排水工事、仮設費用、下水道接続工事など、普段あまり耳にしない工事が含まれています。どれも家が完成したあとに見えにくい部分の工事ではありますが、快適な生活を送るためには欠かせないものばかりです。
約120万円という金額は決して小さくはありませんが、地盤や敷地形状、インフラ状況などで増減することもあります。理想のマイホームを実現するためには、建物本体以外の費用にも目を向け、資金計画書をよく確認したうえで疑問点をクリアにしていきましょう。ハウスメーカーや工務店の担当者とコミュニケーションを重ねながら、納得のいく形で家づくりを進めることが、失敗しないポイントです。
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